ささいな



「泣いてるの?」
「泣いてなんかおらん。」


「嘘。だってジン、涙が出てる。」
「これは、わしの目にゴミかなんか入ってしもうただけや。断じて泣いとらん。」
「取ってあげる。ただ代わりに、お礼に何かくれたらの話にだけど。」
「別に取って欲しゅうなんて頼んどらんわ。わし一人でどうとでもなる。」
「意地っ張りね。」
「うるさい、黙っとれ。」
「擦ると、もっと痛いと思うけど…」
「くそ〜、顔洗ろうてくるしかあらへんか…?」
「貸してみて」
「ちょ!ちょお待て。お前、何しよるつもりや。チドリ。手ぇ離しぃ――」

「っ!……」
「髪の毛だったみたい。」
「そうか…って、そういう事やなくて!お前何しとんねん!チドリ!」
「何?」
「鳥肌立ったわ、あないな事されて!」
「取れたんだったら、良いじゃない。」
「せやかて、世の中してえぇ事としてあかんちゅー事があるんや!ったく、常軌を逸脱しとる!毎度お前はっ…」
「約束は守って。」
「はぁ?何や、やぶからぼうに……」
「取ってあげた。だから、約束は守って。」
「やるか!このアホんだらぁ!」

 

 

 

 

 




どうやって取ったかはご想像に任せるしかないという
何とも他力本願です。

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