願っても叶わないこと。



あんなぁ、伝えたいことが一個だけあったねんや。

失いたくなかった。
お前さん達と居るのが当たり前過ぎて忘れとったけど。
荒んだワシらには愛情とか日常とか程遠いモンやし、言葉にするのも違う気がしたんや。

大事やった。
タカヤは今ここにおるけど、あの人の思うことはワシには分からん。
でも、せめて願いがあるなら叶えさしたいと思うんや。例え、それがこの世を滅ぼすモンであっても。

お前さんの事や、既に知っとったかもしれん。
こないにちっぽけで不可解な感情が、ぎらついた執念とこの世への憎しみに埋もれた
ワシの中にあった事すらも。気づいた時には遅かったなんて、そないな結末は要らへんかったのに。
社会から拒絶されたワシらには伝えることすらも許されとらんというのか。
そないに胸糞悪う世界なら消えてしまえばえぇ。何もかんも、誰も彼も感じなくなってしまえばえぇんや。

望んどるのは硝子の様な透明な世界。

光とお前さん達が居れば、それで何もいらん。

 

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