こたつ。


「何これ。」

「ん。こたつを知らんのか?」
「それくらい知ってる。どこから持ってきたの?」
「……何や、その目は。そないな目でわしを見るな。盗んでへんぞ、わしは。」
「そんな事聞いてないけど……良かった。」
「何がや。ちょうどそこいらに落ちとったのを拾うてきた。
肝心の電源がちっとイカレとったが、直せば十分使えるやろ。」
「へぇ、ジンにしては上出来ね。」
「”にしては”は余計や!意気揚々と帰ってきた人間にトドメ刺すなっ。
ま、これがあれば今年の冬は凌げたも同然やな。」
「これから直すの?」
「ああ、これぞわしの腕の見せ所やからな!期待しとけ。」
「そう、頑張って。」
「おま、……ほんまムカつく。」

「暖まるわぁ〜、これぞ日本の心やなぁ。たまにはこういうのもええな。」
「ジン、煩い。あと、足。邪魔だからどけて。」
「狭いんやから我慢しぃ。ちっとは直したわしに感謝せぇよ、チドリ。
寒がりなお前さんのリクエストに答えてやったんや。」
「お礼が欲しかったの?」
「そらな、まぁ普通は感謝されたら嬉しいわな。」
「――ジン、ありがと。」

「……わしが言わせといて何やけど、こないに素直に礼言うお前さんが気色悪いとは……知らんかった。」
「最低の感想ね。今更だけど、ジンってホント最低。」
「っ、な、な、最低て!……ったく、気遣こうたわしがアホみたいやんか。」
「私よりもタカヤを心配してあげた方が良いと思うけど。」
「あの人は別モンやろ。寒さを感じるとかいう次元じゃあらへん気がする、アレは。」
「見ているこっちが寒いくらいだものね。」
「そやな、ちっとは認識してもらわんと。風邪引いても薬買うアテもあらんし。」

「おや、こたつが。買ってきてくれたのですか?」
「あ、コレ。拾いもんですわ。」
「お帰りなさい。」

「寒い時には良いですね。まさに冬の風物詩です。」
「……タカヤが服着とる。」
「珍しいわね。」
「二人とも失礼ですね。私だって寒い時ぐらいは着ますよ。」

 

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