不覚にも足をくじいた。すぐさま彼が処置を施す。大きい手でするすると私の足へと包帯が巻かれてゆく。その様を私は静かに見守った。
「これで…よしっと!立てるか?」
「ええ」
私はこくりとうなずき、彼は私の手を取り、立たせようとする。どうしてそんな事を言うつもりになったのか今も自分でも解らない。どうしてだったかしら、ね。でも、その時私は彼にそう言ってしまったの。
「私、貴方が好きなの。」
「……は?」
「だから…貴方が好きだと言ってるじゃないの、私。」
「へ、はあ…。」
更にまぬけな声を出して。解ってるのか解ってないのかさっぱりだわ。
「ほら。この場はそれより、背中貸してやるから。な。」
うまく宥められおんぶされる。これって拒否されたのかしら…。それとも照れてるの…?
「……。」
久しぶりに彼の背中に身を預けた気がする。けれど、続く沈黙が重苦しかった。
そして、私をおぶったまましばらく歩いたところで彼は口を開いた。
「…俺も好きだ。ある時からずっと。こんな良い年した男がって…笑っちゃうだろ?」
心なしか耳が赤い。私は突然の告白に唖然とした。
「それは……知らなかったわ。」
私は彼の背に顔を寄せた。