心まで穢れてしまったのは

 

 

 


 

いつからこんなにも自分の手が血にまみれ、穢れてしまったのかしら。


ただ、あの人の様に強くなりたかっただけなのに。ただ、あの人の背中を護りたかったのに。


決してこびり付いて落ちる事の無い穢れに私は覆われてしまったのです。なぜ真実を知る事さえ私には許されてはいないのでしょうか。


幼い時から騎士団が絶対真理で正義だと思っていたわ。母に捨てられた私にはここしか居場所がなかった。騎士団の為に何だってしてきた。平気で人々を死へと追い詰め、反抗する者は罪悪感もなく罵った。小さな頃夢見ていた風景とは違ったけれど、私は騎士団から重要な任務を任されたのだと思った。女の自分でも出来るという強さをやっと認めてもらえたと思った。

けれどそれは違って。


実際はただの都合の良い執行者だったの。

命令を受け人々に手をかけるのは私。人々を苦しめるのは私。


私の誇りは廃れゆき、無意識に増えていったのは穢れだけ。どこまでも赤く黒ずんだ血で汚れた私。誰にも知られる訳にはいかなかった。


万が一、あの人に知られてしまった事を想像するだけで寒気がする。どうしても貴方にだけ拒絶されるのは避けたかった。もしそうなったとするのならば私は壊れてゆくしかないわ、きっと。この手で貴方に触れるのが許されているなら、それだけで良いの。


何が正義で何が間違っているのか。堂々巡りで答えの無い問題。気づけば私は、考える事を停止させて自分を保った。きっと正しいのです、これで。私は間違ってなどいない。この手がどんなに穢れようとも。心がどんなに廃れ何も無くなったとしても。護るべき人達が私から離れていったとしても。

もうそんな事はどうだって良いのです。今更私に戻る道など用意されていないのですから。

 

 

 

 

 




 

エリス独白。私的には救われない感が出てればもう良いかと。


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