ここは嫌。お母様もお父様も居ないから。
ここは嫌。私みたいな子は居てはいけないのか、からかって来る人達ばかり。
帰りたい。早く家に帰りたい。
何時になったら私帰れるの?…それともずっとここに居なくては駄目なの?
ある日、私と同じくらいの男の子が騎士団にやって来た。
ここが珍しいのかきょとんとしてて、私を見てはいるものの寄っては来ないみたい。
私はその子がとても気になった。どんな子なのか。
オロー団長が私がこの子と遊んで欲しい、人間の事を教えてやって欲しいって言った。何でかは知らない。
家に帰れないのはとても寂しい。
だけど、その子が傍にいてくれるから寂しくはないの。弟が出来たみたい。
オロー団長も本当の子の様に私を可愛がってくれて、本当のお父様みたい。
時たましか遊んでくれないのだけど、ユーリックという兄みたいな人も出来た。
私だけの家族が出来た。ずっとこのまま幸せでいたいと思った。
お母様やヴェルドレ神官長が言ってた。家に帰れないのは、私が女神だから。女神って何なの。
世界の封印を守っている人と聞いたわ、私。
私が家に居てはいけないのは何故。女神だからなの?
子供な私にはちっとも解らない事。
予感がするの。
私はいつかノウェやユーリックに置いていかれる。
あの人達はいつも私とは違うところを見ている人達だから。
きっと私の手の届かない所に行ってしまう。
今日もただ泣く事しかできない私。