触れちゃ駄目なんだよ、周りの人間ましてやこの僕ですらも。
手を取ってしまえば最後、離別を余儀なくされる。確実にね。そんな関係なんだ、僕らは。愛する事は必要ない。必要なのは役割。それこそ研究に没頭出来なくなったら、僕らはお役御免だろう。
君は知ってるかなぁ？
愛して触れるばかりが絶対の真理じゃないよ。
少なくとも僕らは必要だからここに居るだけ。それが必然なんだって？
ははは。偶然に違いないよ、きっとね。
彼女もそれが分かってるから僕を好きになったりしない。実に合理的だよねぇ。滑稽でも良いんだ、僕らはそれでうまく行ってるからね。誰が何と言おうと僕らは変わらない。
え、僕が彼女を愛してるかって？愚問だね。
世の中聞かない方が良かったっていう話はざらにあると思うけどね。
駄目なのよ。
周りの人ならず、ましてや私なんかがあの人を愛する事なんて。愛してしまったら最後、側にいる事が出来なくなるわ、きっと。
ずっとそんな関係だったから、私とあの人は。
もし自分の大切な人の側に居れないなんて悲しいもの。
僕はロイドさんとセシルさんの論理にちっとも納得出来なかった。二人が幸せになる日を願ってはいけないんだろうか。
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