「おやぁー、どしたの?横になって。」
ロイドは研究室に入るなり、ソファーで横になっているセシルを見つけた。
「ちょっと頭痛があって…すいません、今日の研究課題はきちんとしますから。」
珍しく気怠そうに項垂れて小声で囁く。
「確かに支障が出ると困るけどね、風邪?」
「あ、いいえ。」
「ん?」
聞き返すと困った様にセシルが言う。
「実は昨日お酒を飲んでしまって…二日酔いなんです。」
「心なしか顔色も悪いみたいだしね。なんと言うかさ、真っ青?」
「不甲斐ないです、二日酔いなんて。」
「まぁ、たまには良いんじゃないかなぁ。君がそうなるのも滅多に見れないよ。」
「からかわないで下さい。……ううっ、頭が痛くてもう仕方ないです。」
「あはっ、そりゃご愁傷様。」
悪びれもせずにロイドが笑った。
「でさ、誰に飲まされちゃったのかな?」
セシルは驚いた。もちろんどうしてそこまでわかるのだろうという驚きだ。
「何で。私が自分から進んで、飲んだ訳じゃないって分かるんですか?」
「君、普段全く飲まないでしょ。」
「あ。」
「大当たりぃ〜。」
「たまたま居た何人かの研究員の方に食事に誘われまして、食事だけならと思っていって来たのですが。」
「そこで無理に飲まされたというところ、だね?」
「……はい、すみません。」
「何で謝るのかなぁ、まぁ。着いて行っちゃった君も悪いけどさ。」
痛い所を突かれたセシルはソファーの上で押し黙るしかなかった。実際ロイドに言われた通りなのだ。交流の為にと着いて行ったあげく、酒を進められて断れなかった。始めから食事だけで終わらないで酒を飲む可能性があると判っていたはずで。最初から丁寧に断れば良かったのだとセシルは後悔した。
「で、大丈夫なの?研究の方は。」
「そうですよねぇ、このままじゃできないですよね。」
「うん、僕一人でも出来ると思うけど。君にやってもらいたい事もあるんだよねぇ。だから早く治してくれる?」
「それは無理って判って言ってますか?」
「もちろん、そうだよ。」
ニコリとロイドは彼特有の笑顔をセシルに向けた。
「すいません、早く治しますから。」
「それじゃあ、遅いんだ。今日は働いて貰わないとさ。」
「…はぁ、わかりました。」
「さてと。」
「きゃっ。」
「さ、やろうっか。」
何故かセシルは何時の間にかロイドの膝の上に乗せられていた。
「おかしくありませんか、これ。」
「何が?君が仕事出来ないなら、僕がフォローしようかと思って。」
呆気に取られた彼女がロイドに完全に遊ばれているのだと認知するまで数分掛かった。
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