●1931年か1932年あたりでクレア+ガンドール兄弟の会話

 

 

 

 

 

「その結婚してくれるかもしれない方とは一体どんな人なんです、クレアさん。」

「『葡萄酒』だ。」

「……それで、『葡萄酒』さん。結婚するにしても相手の方の素性は把握しているのですか?」

「シャーネという名前らしい。本名かどうかは分からないが。生まれとかは全く聞いてない」

「聞いてないって……名字もですか?」

「その子がヒューイとかいう奴の娘である事しか今のとこ判明してないな。」

「ヒューイ……どこかで聞いたことがありますね。」

「お、知ってるのか?ラック」

「少し待っていて下さい。」

「……ああ、これです。ヒューイ・ラフォレット。現在アルカトラズ刑務所に収容中……有名なテロリストじゃないですか。」

「ほお。誰かがそんな事言ってた気がするな。」

「そんなテロリストのお嬢さんとは随分危ない橋ですね。」

「家族になるなら問題無いだろう。……シャーネ・ラフォレットか、良い名前だ。」

「それなら尚更結婚を承諾してくれる様な相手だと思えませんが」

「自信ならある。何せ運命的な出会いだった。相手から探してくれとの書き置きももらった。根拠はないが、もし駄目なら次に当たるアテはあるしな。」

「……それだから、結婚を申し込んだ女性に断られるのでは?」

「何?俺は後悔したことはないぞ。今までが今回の為の失敗だとも思えるくらいにな。いつだって本気だ。」

「クレ……ご結婚はともかくご自身を心配なさった方が宜しいですよ。『葡萄酒』として名が知れていれば、利用される価値はいくらでもあるんです。相手の方の意思がどうであれ用心するべきでしょう。」

「それは心配してるのか?」

「まさか、貴方相手に?ご忠告ですよ。」

「有難い事だ。耳が痛いな。」

「我々だって貴方がそこらへんの方にみすみす殺されるとは微塵も思っていませんよ。……おや、キー兄、ベル兄お帰り。」

「おう。クレアも帰って来た事だし今日は豪勢に食事しようぜ!」

「相変わらず騒々しい奴だな。……それと、クレアは死んだ。『葡萄酒』かもしくは『線路の影をなぞるもの』と呼べ。」

「面倒くせぇ。俺らならクレアで良いだろ?」

「『葡萄酒』、だ。」

「もう呼ぶ気も失せるぜ。だっせぇその二つ名。」

「……。」

「お、キース。……酒?これ俺に?」

「婚約祝いだ。受け取れ。」

「キー兄、いつの間に…こりゃ俺たちしてやられたな」

「さすがキース。気がきくな。お言葉に甘えて有難く頂くよ。」

「気が早いですね、キー兄。相手の方からまだO.K.は頂いていません。ですから婚約は成り立って」「……。」

「まあ、今日ぐらい堅い事言うなってラックよぉ。折角のご馳走気分も萎えちまうぜ。」

「ごめん、ベル兄。…今日のご馳走の為に野暮は止めておくよ。」

「そうそう、俺を見習えラック。少しくらいはハメを外しておかないと人生の半分は損ちまったも同然だ。いざ楽しく生きよう我が人生、とな。」

「私も貴方ぐらい楽しめたら苦労はしないのかもしれませんね。」

「そいつは違げねぇ。コイツは馬鹿だがそれと同時に世界を自分のものにしちまうイカれた野郎だ。こっちが見てて呆れるくらいにな!」

「そいつは褒め過ぎだぞ、ベルガ。」

「褒めてねぇ」

「そうだったのか?」

「ええ、全くね。」




「 ……それでは、今宵の再会と婚約を祝して、乾杯。」

 

 

「乾杯。」

 

 

 

 

 

 

 

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あのDVD五巻の表紙見てたらふと思い付いたので。 兄弟というか幼馴染周辺はどうあっても和み対象です。

 

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