●ちょっとクレアの何かを試したかったらしいシャーネ。
これは実験だ。
父の様に緻密なもので裏付けられたものではなく些細な実験。この人が気付くかどうかのほんの些細な。
密やかな寝息は十分繰り返され、彼が不覚眠りについている事を知らせていた。当分起きる事はないだろうと私は彼の顔を覗きこんだ。
……。
小さな呼び掛け。
起きていないことを確認して、体を持ち上げる。ふとその瞬間、寝息が止まった。起きた気配はまるで感じない。だが、すぐに頬に指を添えられた。その体制のままで私は驚く。彼は黙って近くにいたままの私を見た。結果的に睡眠を妨げてしまったので不機嫌なのだろうか。眉間に皺が眠気が覚めないとばかりに寄っている。
「……なんというか、嬉しくすれば良いのか驚いたら良いのか分からないんだが。それと、寝込み襲うのは勘弁してくれ、な。……じゃないとその、心臓に悪い。」
「なんか怒ってないか、シャーネ?」
苦笑いする彼など知るものかと力一杯頬をひっぱった。少しばかりの焦りと愛しさを込めて。
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そういうとこが父親譲りだったら可愛いなって思いつつ。