「シャーネ、何見てるんだ?」

シャーネの視線は自分を呼んだクレアを無表情のまま一瞥すると、すぐまた窓へと向く。
窓の外は日が暮れ始めて、赤々と大きい太陽が沈みかけていた。
町も家も行き交う人々を全て赤々と照らしている。

「……。」
「夕焼けか……綺麗だな。」

ごく自然にクレアはシャーネの肩を抱いてそう言った。
空は丸い太陽を中心に赤いコントラストで埋め尽くされつつある。
徐々に西日が部屋に差し込んで、シャーネの黒髪も黒いドレスも紅く染めていく。
すぐ隣にいる青年を盗み見た。
決して彼に気づかれないようにそっと。

元から紅い髪と眼は益々紅さを増し、煌いているようにシャーネの目には映った。

 

言える訳もない。

貴方の髪と目が夕焼けに似ていた、なんて。

 

 

 

 

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